研究概要 |
環境有害ガスの処理や廃棄物処理に大気圧での放電プラズマの利用がある。これまで半導体プロセス等の低圧においては,マイクロ波プラズマなどの高周波放電が主に利用されてきたが,高気圧でのプラズマ発生は困難であった。真空排気装置やドラフトチャンバーなどから大気側へ放出するガス処理などへの適用には特徴あるプラズマの生成法の確立が待たれている。本研究では,アルミナチューブで被覆した細長い黒鉛棒をマイクロ波結合素子として用いることで大気圧でプラズマを長時間安定に発生させることに成功した。数L/minのガス流量に対してプラズマは30W以下の電力で発生できた。応用として,揮発性有機化合物の一つであるトルエンの分解を行った。分解特性は有電極方式で処理断面積の比較的小さなバリヤ放電など他の非熱平衡タイプのプラズマ処理と遜色なく,エネルギー効率としては100ppm程度の低濃度トルエンで数L/minのガス流量に対して最大3g/kWhを得た。さらに,光触媒であるTiO_2との併用化の方式を考案し,検討を行っている。触媒とプラズマの相乗効果は,マイクロ波放電が低電力のときに見られた。
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