研究概要 |
新しい視点からの磁性材料評価として,二次元磁気特性測定法によるベクトル(二次元)磁気特性を明らかにすることによって,磁気材料の以下のような詳細な特性が明らかになる。 (1) 磁界強度Hベクトルと磁束密度Bベクトルの間の関係 (2) ベクトル保磁力,ベクトル残留磁束密度,磁気透磁率テンソル (3) 交番磁束下の任意方向の二次元磁気特性 (4) 回転磁束下の二次元磁気特性 (5) ベクトル磁気ひずみ特性(任意方向の磁気ひずみ特性の把握) (6) 回転バルクハウゼンノイズの特性(カオス性の発見) これらの磁気特性を評価することにより,各種電気機器の鉄心に適した材料の選択,また逆に材料の性質を活用した鉄心構造を設計・検討することができる。さらに近年急速に発達したコンピュータシミュレーション技術による磁界解析法に有用に活用できる。本研究グループはこのベクトル磁気特性から従来の構成方程式に代わるE&Sモデルを提案し,これを用いた新しい改良有限要素磁界解析法によって,電気機器の鉄損の直接解析法を開発した。この手法を用いることによって,電気機器の磁界解析の際,磁性材料のヒステリシス特性(鉄損)を含んだ磁界解析が行え,その結果から直接に鉄損分布の解析結果を得ることができる。現在まで,このような結果が得ることができる研究グループは我々のみである。これにより,低損失・高効率電気機器の開発は格段に容易となってくる。また,二次元局所磁気特性用センサーの開発によって,磁性材料の局所的な二次元磁気特性分布を明らかにし,結晶粒・方位,磁区と二次元磁気特性の関係を明らかにし,磁性材料の開発の手がかりを得ている。 さらに,電気機器の騒音の主原因となっている磁気ひずみについても,従来の不十分さを克服し,新たなベクトル磁気ひずみ特性を明らかにすることにより,材料を機器に組み込んだ際における諸問題の原因を明らかにした。そして,感度良く測定可能な3軸ストレイン磁歪測定用ゲージを共同開発した。
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