研究概要 |
本研究の目的は,新たな角棒状構成を有するリニア誘導-同期ハイブリッドモータを開発し,実験及び解析による詳細な検討を行うことでその実用化を図ることである。提案角棒状構成は,2つの一次鉄心を左右背中合わせにし,それぞれの鉄心に対向して設けられた同期モータ用の二次側を機械的に連結させたものである。また,一次鉄心が背中合わせになっている試作機製作の都合上必然的に生じるスペースに誘導モータ用の鉄心を設けることで,両モータの並列運転を可能にしている。さらに,励磁巻線として歴史的な環状巻線を採用することで,すべての鉄心に同じコイルを共有させるようにしている。提案モータの特長は,側面に対称構造を用いることにより片側式モータで問題となっている磁気吸引力の相殺を図ったことと,安定運転を実現する上で重要な要素である自己始動と乱調防止に働く誘導モータを前述の同期モータ間に設けたことである。なお,同期モータの界磁側には分割磁極を適用することで,磁束の空間空調波削減を図ると同時に,磁石間に制動導体を設けている。得られた結果を以下に示す。 1.左右の同期モータの空隙中で発生する磁束密度の大きさを比較することで,対称構成の採用による磁気吸引力の相殺を確認することができた。 2.同期モータの界磁側にPWMの時間高調波思考に基づく分割磁極を採用することで,第5,第7,第11,第13空間高調波を削減することができた。なお,第3高調波は一次巻線の三相結線で対処する。 3.試作機製作の都合上生じる同期モータ間のスペースに誘導モータを配置することにより,自己始動と乱調防止に働く誘導推力を発生させることができた。また,分割磁極の採用による磁石間にも塊状導体を配置することで,制動効果の更なる向上を実現した。 4.環状巻を採用しすべての鉄心を共有させることで,電源効率の向上が達成できた。 以上,本年度は研究期間を通して予定通り研究を進めることができた。
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