渦電流問題(準定常磁界問題)において、過渡解析手法の時間軸の取扱い法を、(1)差分近似、(2)有限要素近似(Galerkinの重み付き残差方程式を適用)、(3)フーリエ変換法、(4)固有関数法に分類し、各手法の優劣を検討した。 その結果、定式化の観点からは差分近似と有限要素近似はパラメータの異なるほぼ同様な陰解法であり、空間分割と時間刻みの関係により解の安定性が決まるため、時間刻みの選択が難しいこと及び計算ステップ数が膨大になることが確認された。 一方、フーリエ変換法、固有関数法は、用いる高周波成分の次数または固有モードの次数に対する収束性がよく、時間軸方向の計算精度が高いことがわかった。さらに、二つの手法の計算規模、計算時間を比較すると、フーリエ変換法の場合には従来の複素解析プログラムがそのまま使用でき、使用する記憶容量及び計算時間は増加しないが、固有関数法では固有値計算が複雑かつ大規模(特に三次元問題で)になることがわかった。 また、複素解析用の三次元渦電流問題のための辺要素有限要素法を改良して、時間軸に有限要素近似を用いた過渡解析プログラムとフーリエ変換法による過渡解析プログラムを開発し、両手法の解の妥当性及び計算精度の検討を行った。フーリエ変換法は、実用性が高いことがわかったが、連成問題では有限要素近似の過渡解析プログラムを使わざるを得ない。 平成12年度は、開発した三次元過渡応答渦電流解析プログラムを高精度計算が要求されるパルス励磁による渦電流探傷に適用し、開発した手法の渦電流探傷用プローブの特性評価への適用性を確認する。さらに、開発した手法の高精度化を検討するとともに、パルス励磁渦電流探傷の逆問題への適用法についても検討する。
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