RFマグネトロンスパッタ装置を用い、ArとO2の混合ガス中で金属Rhターゲットを反応性スパッタリングすることで、Rh酸化物薄膜を作製した。 スパッタリング条件としてO2流量比の影響を検討した結果、O2流量比が20%程度の比較的低酸素雰囲気中では、半導体的性質のRh2O3膜が生成するが、O2流量比40%以上の高酸素雰囲気中では、より酸化が進みRhO2に近い組成の導電性膜が生成することがわかった。さらに、基板温度、スパッタガス圧力、RFパワーなどの諸条件を検討し、基板温度100℃以下、低RFパワー、低スパッタガス圧力の条件で、抵抗率260μΩcmと低抵抗であり、抵抗温度係数も正の金属的伝導を示す導電性薄膜を作製した。また、この低抵抗薄膜について、X線回折(XRD)およびX線光電子分光(XPS)分析による評価を行い、結晶性はあまり良くないが、ルチル構造のRhO2であることを確認した。 プラズマ分光分析の結果、RhO2薄膜の得られた高酸素流量比、低RFパワー、低スパッタガス圧力の条件では、活性な原子状酸素およびO^<2+>イオンの相対強度が増加することから、プラズマ中の活性酸素量の増加がRhの酸化を促進し、RhO2薄膜の形成に重要であると考えられる。しかし、基板温度150℃以上ではRhO2の分解が進行し、半導体的なRh2O3が生成するとともに低効率も急増する。 今後は、酸素中での熱処理によりRhO2の分解を抑えながら、結晶性を改善することで、さらにRhO2薄膜の低抵抗化を図るとともに、Rh2O3およびRhO2薄膜の物性についてより詳細に検討する予定である。
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