ガス中蒸発法を用いて低誘電率材料への応用が期待されるSiOx超微粒子薄膜の作製及びその評価を行った。結果として、SiOx超微粒子薄膜の電気容量測定より求めた誘電率は平均で2以下を示した。また全反射X線を用いたこれらサンプルの多孔質度はおよそ90%以上であり、これはサンプルの90%が空孔で形成されていることを示すものであった。またこのような高多孔質材料に不可避な水分の吸着がFTIR測定で確認され、この水分を除去することによりさらに誘電率値を低下させることが可能であることが解った。この水吸着を防止する方法として、HMDS(Hexamethyldisilan)を塗布し疎水処理を施す実験も行った。HMDSの塗布により膜のSi-OH結合は減り、as depo.の膜と比べ更に低いk値が得られた(作製圧力0.5Torrでk=1.4)。asdepo.の膜を真空中で350℃に昇温して測定したk値は膜に吸収された水分の影響が無いために更に低い値を示した(作製圧力0.5Torrでk=1.3)。一方、Arガス中で作製しその後に酸素雰囲気で酸化した膜は基板付近ではSiO_2までは酸化は進んでいないものの、それより表面寄りではほぼSiO_2まで酸化されていた。この膜に含まれるSi-OH結合は少なく大気中においても、HMDSの塗布を行うことなく非常に低いk値を得ることができた(作製圧力0.5Torrでk=1.4)。 本研究によって得られた膜は、材料自体はSiO_2であるため、高温安定性に優れ、絶縁劣化に強いこと、そして従来の酸化膜の集積化方法を大きく変更することがない、安価であるという大きな利点を持っている。
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