研究課題/領域番号 |
11650322
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
吉本 昌広 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (20210776)
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研究分担者 |
松村 信男 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (60107357)
更家 淳司 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (90026154)
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キーワード | 窒化インジウム / ヘテロ接合 / シリコン / 分子線ユピタキシー / バンドオフセット / 光電子分光法 / 窒化シリコン |
研究概要 |
従来のIII-V族半導体とSiで構成されるヘテロ接合では、相互拡散によりpn接合を構成することは期待できなかった。III族窒化物半導体とSiのへテロ接合では、伝導形を制御することが期待できる。N原子はSi中で電気的に不活性であるので、Si側の界面はIII族窒化物から拡散したIII族原子によってp形を示すと期待できる。III族窒化物側に拡散したSi原子はInNやGaNなどのIII族窒化物においてn形不純物として振舞う。このことから、n形III族窒化物半導体とp形Siからなるヘテロ接合で、pn接合の形成が期待できる。 本研究では、InNを、金属Inとrfプラズマ中で励起した窒素を原料とするMBE法によって、基板温度500℃で成長した。反射高速電子線回折(RHEED)、X線回折およびX線光電子分光(XPS)の結果から、成長層は多結晶InNと確認された。InN層の表面は鏡面で、禁制帯幅は1.96eVであった。不純物添加をしない状態で、成長層はn^+形の伝導形を示し、電子密度は3×10^<20>cm^<-3>、ホール移動度は28cm^2/Vsであった。Si上に成長した極薄膜InN(<3nm)を用いて、InN/Siヘテロ接合のバンドオフセットを、XPS法により決定した。InNの価電子帯の上端はSiのそれより1.60eV低エネルギー側に位置することが明らかとなった。InN/Siヘテロ接合はSi側から見て、正孔に対する障壁を形成することが示された。InNとSi基板の界面には窒化シリコン(SiN)層が1.5nm程度形成されていることをXPS法で明らかにした。Si基板の窒化実験の結果と比較することにより、InN/Si界面でのSiN層の形成には、Si表面に窒素の励起活性種が直接照射されることよる窒化と、InN/Si界面が形成された後の窒化の両方が同程度寄与していることを明らかにした。
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