研究概要 |
フラレノール添加ポリウレタンエラストマー(PUE)の電歪効果の発現と、低電界駆動型アクチュエータの実現という目的で研究を遂行し、得られた結果を概説すると以下のようになる。 ○PUEのソフトセグメントにポリエステル系ポリオール(PMPA)を、ハードセグメントにジイソシアネート(PPDI)を、鎖延長剤としてプロパンディオール(1,2PD)を用いてキャスティング法でフィルム化(1mm〜100μm)した場合に顕著な電歪効果が発現した。 ○低電界駆動に使用するフラーレンC_<60>は、スルホン化し加水分解した後にPUE合成時の硬化剤として反応させた。最終的にOH基が10〜12個程度ついていることが明らかとなった。 ○ポリエステル系PUEフィルムの両面に付着力を強めるため、コロナ放電処理を行った後に金とアルミを熱・イオンアシスト法で蒸着し、ユニモルフ型アクチュエータとした。 ○本アクチュエータを構成した時、屈曲はPUEの収縮変位に起因する電極厚さの相違、すなわち金属電極の引張り強さの相違から生じるとしていたが、全ての試料において電界(極性)依存性(極性効果)を持つことが分かった。 ○フラレノールをPUEに導入して構造制御を行った結果、フラレノールの濃度が0.25%で最大の変位を示し、屈曲が5mm程度となる駆動電圧も400Vとなり、低電圧駆動が可能となった。また、アクチュエータの屈曲はフラレノールのOH基数によっても影響され、OH基数の多いフィルムの方が大きい屈曲を示すことが明らかとなった。 ○本アクチュエータの発生力はフィルム厚が200μmの場合で最も大きくなっている。
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