超広帯域平面アンテナ素子である、テーパスロットアンテナ(TSA)を設計する際重要となる主要な放射特性について検討を加え、その妥当性を実験により検証した。すなわち、(1)放射パターン、インピーダンス特性、周波数特性及び利得について検討を加え、その設計基礎資料を得た。(2)、(1)で得た設計方法、設計資料を駆使し超広帯域特性を有するテーパスロットアンテナを素子とするアレーアンテナを実際に試作し、電波吸収体により十分に散乱波及び反射波が抑制された電波暗室内で利得及び放射パターン等を精測し、本設計法の妥当性を検証した。 次いで、超広帯域テーパスロットアンテナを用いて、アレーアンテナを構成する際重要となる給電系について検討を加えた。すなわち、(1)この種のアレーの給電系をコンパクトに構成する際必須となる直交給電方式に着目し、コプレーナ線路による直交給電方式及び、一つの給電用スロットを用いて、二つのTSAを同時に給電可能にするストリップ線路を用いる直交給電方式等について検討を加え、その妥当性を実験的に検証した。(2)更に、(1)の発展形態として、一つの給電用スロットを用いて複数個のTSA素子を同時に励振可能とする方式について考察を加え、実際にこの方式を用いコンパクトな給電系を有する16素子(4×4)平面アレーを試作し、この種のアレーが良好な特性を示すことを明らかにした。なお、本補助金により購入した設備品であるシンセサイズド・スイーパが、TSA素子及びアレーアンテナの特性を定量化する際威力を発揮した。
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