研究課題/領域番号 |
11650350
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
内野 喜一郎 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (10160285)
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研究分担者 |
梶原 寿了 福岡工業大学, 工学部, 教授 (00185779)
BOWDEN Mark 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (10260720)
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キーワード | 放電プラズマ / PDP / 電子密度 / 電子温度 / レーザー計測 / トムソン散乱 / マイクロ放電 / レーリー散乱 |
研究概要 |
平成12年度は、プラズマディスプレイパネル(PDP)のためのマイクロ放電の構造を明らかとするため、電子の密度・温度分布を直接測定できるレーザートムソン散乱計測システムの開発を本格的に進めた。 (1)マイクロ放電プラズマへのレーザートムソン散乱計測法の適用に関しては、微弱なトムソン散乱信号、及び強いレーリー散乱光、迷光の影響という問題があり、実行不可能と考えられ続けてきた。著者らは、これらに関して詳細に検討した。まず、マイクロ放電プラズマからのレーザートムソン散乱信号が検出可能であることを数値見積りにより示し、これを実現し得るレーザートムソン散乱計測システムを開発した。後者の問題のためには、3枚の回折光子を用いた分光器を製作して受光系に用いることで、Arガス圧換算10,000 Torrの迷光レベルまでトムソン散乱信号を迷光より分離可能とした。 (2)マイクロ放電プラズマを対象としたトムソン散乱計測を実行し、Arガス圧50Torrで生成したプラズマにおいてガラス基板表面から0.3mmの位置で、明確なトムソン散乱信号を初めて検出することに成功した。レーザー擾乱や不純物の光電離など測定結果への影響は無視できることを確認し、得られた信号が真のトムソン散乱信号であることを示した。 (3)その後、Ne/Ar混合ガス200Torrにおいて、基板表面から0.1mmの位置で信号検出可能とし、さらにレーザー入射位置を基板表面に沿って移動することにより、空間分布の測定も可能とした。 今後、レーザートムソン散乱計測によりPDP放電プラズマ内の電子密度・電子温度分布を詳しく測定し、放電の機構解明を大きく前進させることが期待される。
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