研究概要 |
半開口型導波路であるHガイドに挿入されたSiスラブの表面に外部光照射によってプラズマ層が生じるため、伝搬しているミリ波が高速に漏洩波に変換される。この高速にかつ干渉無く変換される漏洩特性を新しいミリ波デバイスに適用するため、波動理論に基づいた厳密な数値計算を行い、その変換メカニズムを明らかにしている。本年度は特に漏洩波の伝送パワー密度分布をポインティングベクトルより計算し、漏洩波アンテナ設計のための基礎データ収集を行った。ムラー法による複素固有値方程式の解法を用いて複素伝搬定数を求め、進行方向ならびに横方向のパワー密度分布をそれぞれ計算した。さらに前記のそれぞれの大きさを合成してベクトル図で漏洩パワー密度を表示した。その結果、照射光の大きさ、すなわちプラズマ密度の大きさ、あるいはミリ波の伝送周波数の変化に応じてミリ波の漏洩裏方向と大きさが変化する様子がSi表面からのベクトル図表示によって明らかとなった。この結果については3月21日に平成12年電気学会全国大会(東京工業大、講演番号1-019)で、さらに4月26,27日にCJMW2000(中国南京市東南大学、信学会マイクロ波研等主催)にてそれぞれ発表する。また、時間変化に対するミリ波の応答の様子も含めて7月5〜14日に開催されるPIERS2000(米国MA州 Cambridge)にて発表する。高抵抗半導体材料を用いた数種の導波路を試作し、それらを伝搬するミリ波の減衰特性と漏洩波の指向特性に関する測定を現在進めている。
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