半開口型導波路であるHガイドに挿入された半導体スラブの表面に外部光照射によってプラズマ層が生じるため、伝搬しているミリ波が高速に漏洩波に変換される。この高速にかつ干渉無く変換される漏洩特性を新しいミリ波デバイスに適用するため、まずその変換メカニズムを波動理論に基づいた厳密な数値計算により明らかにした。すなわち、ムラー法によって複素固有値方程式を厳密に解き、複素伝搬定数ならびに各方向の波数を求めた。さらに漏洩波の伝送パワー密度分布をポインティングベクトルより計算し、ベクトル図を用いて漏洩パワー密度の周波数依存性、照射光強度依存性を図的表示により示した。これにより26.5〜40GHz帯でのシリコンHガイドを用いた漏洩波アンテナ設計のための基礎データ収集はほぼ達成できた。応答速度の良いガリウム砒素の場合、さらに実用化に有望な60GHz帯についても最適設計に必要な伝搬特性の計算を行った。また、ホーン付きHガイドアンテナを試作し、光強度変化に対する指向特性を測定した。不要散乱波の混入が見られるなど理論結果との不整合がまだ残っており、現在、誘電体への励振法、高抵抗半導体の性能など検討中であり、今後の課題となっている。なお、これらの成果は2000年4月にCJMW2000(中国南京市東南大学、電子情報通信学会マイクロ波研等主催)で、また7月にPIERS2000(米国MA州Cambridge)において、さらに本年3月の平成13年電気学会全国大会(名古屋大)でその後の成果を順次発表した。
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