研究概要 |
本研究では,常温動作可能なサブミリ波検出器としてヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)構造を用いた検出器の開発をおこなっている。 従来用いられているショットキ・バリア・ダイオード(SED)は,寄生容量や直列抵抗の値を極めて小さくできることから5THz以上までの高い周波数の電磁波を検出可能であるが,本研究では,100GHz〜1THzの周波数帯においてSBDを上回る感度を持つ検出器の開発を目指している。本年度はまず,HBTを用いてサブミリ波検出器を構成する場合の素子構造パラメーターに関する検討を行い,さらに高周波信号の伝達経路を工夫した回路について検討した。本構成の回路は,高周波に対してトランジスタのダイオード接続,検波された信号に対しては本来のトランジスタ低周波増幅回路として働くものになっている。 以上の回路の動作を確かめるため,Siトランジスターを用いてマイクロ波帯モデル実験を行った。エミッタ接地を用いた回路では、Siトランジスタの電流遮断周波数ftを大きく超えて、その約8倍の周波数まで検出器として動作する事が明らかになり,本方法の有用性を示した。 次に,AlGaAs/GaAsを用いたHBT構造を製作するため,素子構造の設計,半導体プロセスの手順,ECRプラズマエッチングおよび選択ウエットエッチングの検討,フォトリソ用マスクの製作,AlGaAs/GaAs構造のMBE堆積を終了した。 次年度は,実際の素子を製作して,ミリ波,サブミリ波の検出実験を行う予定である。
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