研究概要 |
1. 状態空間表現による高精度IIR可変ディジタルフィルタの実現法を提案した.丸め誤差が最小な2次最適実現に周波数変換を行い,可変ディジタルフィルタを実現する.このとき,係数行列要素の更新に要する計算量を削減するために,周波数変換後の係数行列要素に対して線形近似を行う.このように可変ディジタルフィルタを実現することで,高精度のフィルタ特性を実現できる.提案手法により実現した可変ディジタルフィルタと,直接形II構造と並列全域通過構造のそれぞれの可変ディジタルフィルタのフィルタ特性を比較した.結果,2次最適実現を用いた可変ディジタルフィルタは,線形近似によるフィルタ特性劣化と,係数量子化によるフィルタ特性劣化がともに小さい. 2. 画像信号のような2次元信号のフィルタリングを行うとき,信号の特性にしたがってフィルタの周波数特性を変えたいときがある.このような要求を満たすフィルタとして,可変フィルタが挙げられる.プロトタイプフィルタとして2次元分母分離形伝達関数を用いた2次元可変IIRディジタルフィルタの設計法を提案した.2次元分母分離形フィルタの伝達関数を並列1次全域通過区間に分解する.その後,周波数可変特性をもたせるため周波数変換を適用する.最後に,係数更新のための計算量を削減するためテイラー級数展開の線形近似が適用される.これによって得られる2次元可変IIRフィルタは,安定判別が容易であり,高精度な周波数可変特性をもっている.
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