研究概要 |
本研究はポイントマッチング法により高誘電率準球状共振器の共振特性や無負荷Q特性を精度良く求めようとするものである.そこで今年度,本研究代表者は準球状共振器内外の電磁界分布を球面素波の集合体で表すことに成功し,また共振器の境界上に数点の整合点を与えることにより,固有値方程式を誘導した.さらにこの固有値方程式を数値的に解析し,共振周波数及び無負荷Q値を一部明らかにした.それらの研究成果は裏面の発表論文に示されている.この発表論文では,緯度方向の角度を等分割して整合点を定めているため固有値の収斂性が悪いことが分かった(整合点の数を20個以上取らないと固有値がなかなか収斂しない).そこで,現在本研究代表者はこの収斂性の改善を目指して,整合点の取り方について誠心誠意検討を行っている.すなわち,共振器内外の電磁界表示式は波動方程式の球座標展開で与えられるため,その緯度方向変化はルジャンドル陪関数によって支配される.そこで整合点の数に応じたルジャンドル陪関数の微係数が0となる角度を整合点の角度と設定することにより固有値を求めている.また,電磁界成分の対称性をも考慮することにより,収斂性の優れた整合点の取り方を見い出しつつある. 実験的には,高誘電率を持ちしかも損失の少ないアルミナから構成される準球状共振器の共振特性及び無負荷Q特性を購入したシンセサイズドCWジェネレーターを用いて測定を行っている.さらにこの測定結果を数値解析結果と比較することにより,共振及び無負荷Q特性を徐々に明らかにしつつある.
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