近年、音声・画像通信のようなリアルタイム性が要求されるメディアストリームも含めて、ベストエフォート型ネットワーク、即ちインターネットでの伝送が商用化されている。これらリアルタイム性の強いメディアストリームに対しては、これらを補償する機構が必要となってくるが、画像・音声ストリーム以外のアプリケーションを意識した、適切な遅延・廃棄の補償方法を検討することが必須の課題である。このような観点から、本研究では、音声・画像形以外のリアルタイムストリームに対して、ネットワークの遅延予測を基盤にしたメディア同期手法を開発すると共に、アプリケーションに依存しない同期手法のサブセットをプロトコルとして提示・開発するための研究を行っている。 本年度は、現実のネットワークと適合性が高く、かつメディア同期に用いることの可能な遅延時間分布モデルを開発した。 得られた遅延時間分布モデルはオフセット付指数分布の形であり、分布を同定するパラメータ自体はマルコフ的に遷移することを見出した。また得られた遅延時間分布モデルを組み込んだメディア同期手法を提示すると共に、これを組み込んだアプリケーションシステムの開発に着手した。当初はVR共有空間歩行などを想定していたが、これに加えて、触覚インタフェース(Haptic Interface)の製品化と応用が期待されている状況を考慮し、Haptic Interfaceを対向でネットワーク接続した共有空間内で各種のコラボレーションプログラムの基本設計を行うと共に、主観的QOSとネットワークQOSの関係について思考的検討を行っている段階である。
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