研究概要 |
1.テンプレートの作成:アレイアンテナにおける複数到来波の数学モデルを構築した.そして,そのモデルに基づき,到来角度を0^0から180^0まで間隔δで量子化した場合の,特徴量のテンプレートを作成した.なお,テンプレートの特徴量として,アイレ入力信号ベクトルの相関行列系列,離散時間フーリエ係数,ウエーブレット係数を検討した.その結果,相関行列系列が,精度と計算量の観点から,最も有効であることがわかった.また,隣接する仰角に対応するテンプレート同士の距離は近いことを利用して,メモリ使用効率の高いデータベース構造を設計した.次に,量子間隔δによって必要な記憶容量と検索速度がどのように変化するかを理論的に解析した.なお,テンプレートは,到来波数ごとに,さらに無相関の場合,コヒーレントの場合に分けて作成した. 2.検索システムの設計: 実際の観測信号から特徴量を計算し,領域検索によりデータベースからの距離の近い特徴量を複数個抽出した.そして,抽出した特徴量をもとに,到来方向を推定するアルゴリズムを作成した.その際,観測データ数と推定精度との関係を理論的に解析した上で,領域検索により抽出された複数のテンプレートに距離に重みをかけることで,計算量をほとんど増加させることなく,推定精度が良くなることを明らかにした.なお,データベースのデータ構造としては,k次元デジタル検索木を用いることで,高速に領域検索をおこなった.その際,訪問ノード数の上限を設定しておき,その上限を越えた段階で領域検索を停止させた.これにより,最小のサンプリング時間間隔が見積もれるので,到来方向がリアルタイムで推定することが可能となった.また,サンプリング時間間隔と推定精度との間に成り立つトレードオフについても検討した.
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