研究概要 |
本年度は,区分的に記述される非線形常微分方程式系の結合系の分岐について検討した.方程式が不可微分点を持てば,系の運動もそれを反映した特異な性質となる.われわれは区分力学系の周期解の分岐のパタンと,それらの位相的分類を行うために,分岐理論を応用して周期解の分岐集合を求めるアルゴリズムを考案し,いくつかの系について計算を行った.具体的には,不可微分点の系における条件を具体的に超平面として求め,その平面におけるポアンカレ写像を構成することにより,固定点,周期点を局所写像の合成として求めた.分岐パラメータはこれらの情報をもとにニュートン法で求めることができた. まずHodkin-Huxley方程式における不連続応答の分岐問題を解いた.この系は神経結合応答として生理的に極めて対応がつくため,分岐集合のパラメータ値は,実生理反応系の挙動を知る上で重要である.また,区分力学系にみられるカオス応答において,カオス制御理論を応用し,カオス中に含まれる不安定軌道を安定化する数値実験も行った.不安定軌道の計算は,上記の分岐集合計算アルゴリズムを応用して簡単に求めることができ,実用的にも十分であると思われる.
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