研究概要 |
本研究は,ハードディスク装置(HDD)に代表されるディジタル磁気記録装置の高密度化のための信号処理方式に関するもので,本年度はターボ符号化・繰り返し復号化の検討を行い,以下のような成果が得られた。 1.符号化率の向上と符号化率8n/8n+1化の検討 インタリーバが2のべき乗の系列に対しで構成されることから,情報系列からパリティ系列を生成した後,インタリーブした情報系列にパンクチャドされたパリティ系列を一定間隔ごとに挿入することで符号化率8n/8n+1化した多重方式を考案した。そして,符号化率が8/9,16/17のパンクチャド再帰組織畳込み(RSC)符号化の性能評価を行ったところ,繰り返し復号を行った場合にウォータホール特性が得られ,符号化率8/9の場合に良好な特性が得られることが明らかとなった。 2.RLL符号化器との連接 垂直磁気記録は低密度記録には不向きであることから,記録波形の最大磁化反転間隔を制限する必要がある。また,再生系のゲインコントロールや安定なクロック再生のためにもその制限は重要である。そこで,RLL符号化器を連接して最大磁化反転間隔を制限できるターボ符号化器及びその繰り返し復号化器を考案した。 3.高符号化率RLL符号の開発 上記のように,ターボ符号化ではパリティシンボルを挿入により符号化率が8/9,16/17と低下する。そのため,従来の8/9(0,4/4),16/17(0,6/6)RLL符号では全体の符号化率が大幅に減少してしまい,性能劣化を引き起こす。そこで,64/65(0,8)符号を新たに開発し,垂直磁気記録に対する記録再生実験により性能評価を行ったところ,8/9(0,4/4),16/17(0,6/6)符号化に比べて良好な特性が得られることが明らかとなった。
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