本研究では、ディジタルコンテンツとして、電子メディアとしての動画像と文書(文字・図形)を掲げ、これらに対する電子透かしの実現を目指して研究を行う。今年度は、これまでの研究成果を踏まえて継続研究を行い、電子透かし方式の性能評価ならびに動画像及び文書に対する電子透かし方式の改良を行った。今年度の研究成果は以下の通り。 1.ウェーブレット変換による画像の多重解像度表現を用いて、静止画像と動画像の両方に適用可能な電子透かし方式の改良を行った。これらの方式はJPEGやMPEGなどの非可逆圧縮、フィルタ処理や階調変換などの各種画像処理に対して耐性をもった電子透かし方式である。また、離散コサイン変換を利用してMPEG動画の再生・コピー制御に適した電子透かし方式を提案した。 2.文書を文字・図形2値パターンとみなして取り扱い、モルフォロジカル信号処理(数理形態学的信号処理)技術を応用して電子透かし埋め込み/検出アルゴリズムを与えた。そして、これを応用して欧文への電子透かしを実現し、電子透かしの耐性や安全性について議論した。また、印刷文書からの透かしの検出方法についても検討を行った。 3.周波数領域利用型の電子透かし方式に対して、透かし情報の埋め込み/検出システムのモデル化を行った。そして、このモデルを用いて電子透かし方式の性能、品質、耐性について議論し、電子透かし方式の評価方法を提案した。さらに、この方法を用いて離散コサイン変換に基づく方式と離散ウェーブレット変換に基づく方式の解析を行い、これらの耐性を比較した。
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