研究概要 |
4個の3次元カオス発振器をキャパシタによって4面体構造に完全結合したシステムを取り上げ,このシステムに生じる同期現象を観察した.さらにカオス発振器の結合点を2通り考えることにより,3次元カオス発振器の結合の方法によって2種類のシステムが考えられる.キャパシタを負性抵抗部分に結合した場合には同相同期のみ発生するが,LC共振回路部分に結合した場合には同相同期,4相同期,交互逆相同期,独立逆相同期が共存することを示した.さらに,周期解の場合の4相同期,カオス状態で2つの逆相同期が約60度の位相差でロックするという同期現象や,カオス同期に至る分岐の課程においてアトラクタの形及び同じ形のアトラクタの数が変化する分岐現象など,興味深い現象をいくつか観察することができた. N個のカオス発振器を一つの抵抗で結合した系に生じる自己スイッチングの振舞について調べた.対象とする系において,各発振器のアトラクタが存在する部分状態空間を同時に切り替わるという従来報告例のない「自己スイッチングの同期現象」をみることができる.自己スイッチングの同期現象は,電子回路システムにおいてカオス非同期という各発振器間の無秩序性の中に自己スイッチングの同期現象という秩序性が同時に存在するという大変興味深い現象を初めて見出した. これまでに2つのカオス発振器を相互たすきがけ結合したときの現象について研究してきたが,一つのカオス発振器のカオス発生に本質的に重要な役割を果たしている抵抗の値をこの発振器の出力電圧でもって上記の抵抗が変化させるような系を取り上げ研究した結果,発生するダブルスクロールがバイアスされたアトラクタが生じることを実験,計算機シミュレーションで示した.
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