光導波路のフルベクトルビーム伝搬解析法の開発と放射問題への応用

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11650398
• 研究機関: 法政大学
• 研究代表者: 山内 潤治 法政大学, 工学部, 教授 (50174579)
• 研究分担者: 中野 久松 法政大学, 工学部, 教授 (00061234)
• キーワード: 光導波路 / ファイバグレーティング / ビーム伝搬法 / 時間領域ビーム伝搬法 / 差分法 / 数値解析

研究概要

効率を失うことなく精度よく,光導波路を解析するために、4次制度のビーム伝搬法を(BPM)を開発した。定式化の後、各種光導波路の固有モード解析を行い、提案する手法がグレーデッドインデックス導波路で4次精度を示すことを実証した。ステップインデックス導波路においても、精度の改善の得られることを、リブ導波路結合器の解析例により証明した。さらに、計算能率を向上させる観点から、不等間隔グリッドを導入した。この際、2種類の方法を提案した。一つは、写像関数を利用し、計算空間を等間隔に保つ方法であり、もう一つは、実空間そのものを不等間隔でサンプルする方法である。パデ演算子を取り入れ、広角度にわたり、精度を損なうことなく伝搬ビームを解析できることを実証した。後者の手法に関しては、アダプティブにグリッドを変化させるアルゴリズムを確立した。
時間領域BPMにおいても成果があった。一つは、時間刻みに関して2次精度を維持した3次元アルゴリズムの確立である。交互方向陰解法を応用することで、高い計算効率を保ったまま、現実的なモデルである3次元構造の光導波路を解析できた。具体的には、光ファイバからの端面反射の効果を算出し得た。また、この際、最適なサンプリング時間についての考察を行い、ナイキスト間隔で決定される時間付近に最適値があることを突き止めた。さらに、空間刻みにおいて4次精度をもつ時間領域BPMの開発も実施した。直角座標系と円筒座標系の両者において定式化に成功した。光ファイバグレーティングの反射パワーの波長特性を算出し、従来の時間領域差分法の結果と比較検討した。両者の一致を確認した後、時間領域差分法では解析が不可能な、多周期のファイバグレーティングを解析し、周期数の増加に伴う、反射率の変化に言及した。

研究成果

• [文献書誌] J.Shibayama,K.Matsubara J.Yamauchi,and H.Nakano: "Efficient nonuniform schemes for paraxial and wide-angle finite-difference beam propagation method"Journal of Lightwave Technology. vol.17,no.4. 677-683 (1999)
• [文献書誌] J.Yamauchi,J.Shibayama,and H.Nakano: "Application of the generalized Douglas scheme to optical waveguide analysis"Optical and Quantum Electronics. vol.31,no.9/10. 675-687 (1999)
• [文献書誌] J.Shibayama,T.Takahashi,J.Yamauchi,and H.Nakano: "Finite-difference time-domain beam propagation method for analysis of three-dimensional optical waveguide"Electronics Letters. vol.35,no.18. 1548-1549 (1999)
• [文献書誌] J.Shibayama,T.Takahashi,J.Yamauchi,and H.Nakano: "Time-domain finite-difference BPM with Pade approximants in time axis for analysis of circularly symmetric fields"Electronics Letters. vol.36,no.4. 319-321 (2000)
• [文献書誌] J.Shibayama,T.Takahashi,J.Yamauchi,and H.Nakano: "Efficient time-domain finite-difference beam propagation methods for the analysis of slab and circularly symmetric waveguides"Journal of Lightwave Technology. vol.18,no.3. 437-442 (2000)