研究概要 |
マルチキャスト通信では,再送制御が問題となる.すなわち,1対1通信の場合はエンドエンドで再送制御を行えばよいが,マルチキャスト通信では,正しく到達するところと,そうでないところが生じるので,どのようなプロトコルでどこが再送を行うかが問題となる.再送制御は通常トランスポート層で行われるので,下位層の網構成とは無関係と考えるのが常識である.しかし,リライアブルマルチキャスト通信では,この常識が成り立たず,網構成が重要な要素となる. リライアブルマルチキャスト通信の網構成の検討を行うには,まず,局の地理的分布,人口分布,それからリライアブルマルチキャスト通信,リライアブルでないマルチキャスト通信,1対1通信のそれぞれについて,その種類,呼の生起・終了,局間交流トラヒック,ルーチング方法などを定めねばならない.これらについて,実際に近く,かつ網設計での計算量が少なくなるようなモデルを設定した. また,1対1通信なら単純に呼量を加えることができるが,マルチキャスト通信では呼量を加えるということはできない.同じ放送に接続されるトラヒックが合流した場合,合流後の呼量がいくらになるかは,生起・終了時の確率分布を考慮して計算する必要がある.また,リライアブルマルチキャスト通信の再送の呼量を計算する必要がある.そこで,その計算法について検討を行った. 更に,1対1通信向きに設計した網と,マルチキャスト通信向きに設計した網を重ね合わせることによって,1対1通信とマルチキャスト通信が混在する実際的な網を設計する検討を行った.その結果,少ない計算量でコストの低いマルチキャスト通信網を設計できる見通しを得た.
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