平成11年度は、上記の2眼撮像システムを用いて、下記の研究課題に取り組んだ。 (1)時間統合法による高解像度化処理の解析と評価 研究代表者らが、先に考案した時間統合法を基盤として、共有型リアル映像空間入力のための高解像度化処理アルゴリズムを構成し、アルゴリズムの最適化をはかった。この方式は、撮像システムをパン、チルトさせながら撮影し、各カメラ毎に個別にフィールド画像の位置合わせを高精度で行い、画素統合によって高解像度化画像を得るものであり、静止シーンの共有型リアル映像空間入力に適した高解像度化手法である。 (2)空間統合法による高解像度化処理の解析と評価 空間統合法は、研究代表者らが先に時間統合法と共に提案した方式であり、複数のテレビカメラで同時に撮影した複数枚の画像間で、視野が互いに重なり合った部分の画素を高精度で対応付け、これらを画素統合することで高解像度化画像を再構成するものである。本研究では、多眼カメラシステムによる共有型リアル映像空間入力方式に特化した高解像度化処理の一手法として、空間統合の概念に基づく方式について、理論的検討を加えた。特に、カメラキャリブレーションに要求される精度と解像度向上との関係について明らかにした。 (3)2000x1312画素の高精細映像を秒4コマ撮影可能なディジタルスチルカメラと720x486画素の映像を秒30コマ撮像可能な通常のディジタルVTRとで同時に撮影し、ここのカメラで得られた情報を互いに補間しあうように統合することで、空間解像度と時間解像度とが共に高いに動画像を得る手法を提案し、情報統合のシュミレーションを行った。
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