マイクロ交換機を移動体通信基地局毎に配置した超分散型移動体制御方式について、本年度はAll IP化方式の実現に向けた検討へ展開した。アクセス網として光ファイバ化が重要なこと、アクセス網としてPON(Passive Optical Network)が移動体通信ときわめて親和性が高いことを見出して検討を進めた結果、PONの放送機構を利用したIP mobility支援の方式を考案した。 具体的にはマイクロセルを制御する無線基地局ごとには0NU(Optical Network Unit)を配置し、マイクロセルを複数個集合して仮想マクロセルとする。放送機能を利用してマクロセル単位にチャネルを設定するが、実際の無線転送は所属するセルだけが行う。広域にはMobile IP方式を採用し、OLT(Optical Line Terminal)を束ねた集中点にFA(Foreign agent)を配置して直径40km規模の範囲をFA管理エリアとする。高速移動体には動的にマクロセルを移動し、CDMへのソフトハンドオフとあわせて高速連続転送を可能とする。また、放送機構を利用すると複数の基地局が同一IPアドレスをとれ、高速の移動を支援できる。たまたま、ハンドオーバによってパケットが紛失した場合には、救済策としてソフトハンドオーバ法とバッファ利用法が可能である。また、ハンドオーバ手順として既存チャネルを利用する制御法、新セルへの制御チャネル設定法、隣接セルが予め転送体制をとる方法の3案が考えられる。既存方式である第案では高速移動体に対応できず、後者2案のいずれかが必要である。
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