研究概要 |
線形システムは物理的な立場から大きく,集中定数システム(有限次元システム)と分布定数システム(無限次元システム)に分けられる.これらのシステムに外乱が入りシステムの出力に影響を与えた系に対して,フィードバック制御により外乱を除去することが可能かどうかに関する研究が欧米の研究者及び申請者らによってこれまで,多くの研究がなされてきた.しかしながら,システムのパラメータに誤差を含んでいたり,温度や経年変化などによってパラメータが変動した場合には,これまでの研究成果を用いることができない状況にある.このような背景の中で,平成12年度の研究計画は,以下の2つに大別されていた. (1)不確かな無限次元システムに対して,一般化された不変部分空間の概念を導入し,その性質について詳細に調べる. (2)(1)における不確かな無限次元システムに対して,状態フィードバック及び出力フィードバックを用いた外乱除去問題を定式化し,その可解条件について調べる. (3)(1)における不確かな無限次元システムに対して,動的補償器を用いた外乱除去問題を定式化し,その可解条件について調べる. その結果,不確かな無限次元システムに対して,一般化された不変部分空間の概念が導入され,その性質について調べられ,基本的な事実が明らかにされた.さらに,状態フィードバック及び出力フィードバックを用いた外乱除去問題が定式化され,その可解条件が与えられた.得られた結果は,学術雑誌に掲載された.また,動的補償器を用いた外乱除去問題も定式化されたが,その可解条件については,今後の問題として残された.
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