研究概要 |
最適地探索過程において,解くべき問題のモデル(目的関数・制約条件)を適応的に引き出すための枠組み,および進化型計算法をベースとした複数の解候補を提示できる枠組みの構築を目的とし,(a)目的関数にノイズ(不確実性)が含まれる状況下で,最適性だけではなく不確実性に対する信頼性(ロバスト性)をも高めるといった最適化問題を考え,ある程度の最適性を維持しながら信頼性をも同時に高めるための遺伝アルゴリズムの拡張,および(b)複数の目的関数を考慮した多目的意思決定問題に対して,パレート最適解集合の生成と意志決定者の選好の対話的な抽出を可能とする遺伝アルゴリズムの構成,に関する研究・開発を行った. 具体的には,(a)に関して,年齢構造の導入による遺伝アルゴリズムの拡張方法,特に連続年齢モデルによる適応度の計算方法を提案した.簡単な関数最適化問題への適用例を通して,ロバストな解が求められることを確認した. また,(b)に関しては,解の潜在的な評価を定量化したポテンシャルに基づく適応度の計算方法を提案し,対話的・逐次的に意志決定者の選好を引き出すことによって最終的な選好解を選びだすアプローチを提案した.関数最適化の例題を用いた計算実験より,得られるパレート最適解集合に意志決定者の選好を反映させることが可能であることを確認した. さらに,これらの結果に加え,意志決定支援のための創発的方法論を確立するための課題として,(c)上記(a)および(b)の成果を融合・発展させ,より広範な問題に対してさらに質の高い選好解を生成し得る枠組みを構築すること,(d)選好に抽出するための,ヒューマンマシン・インタフェース部を設計・実現すること,の必要性が指摘された.
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