研究概要 |
最適値探索過程において,(i)単に最適な解を求めるだけでなく,その計算過程において解くべき問題(考慮すべき制約や意志決定主体の選好など)を適応的に引き出すためのの枠組みを検討・構築するとともに,(ii)意志決定者の選好を積極的かつ効率的に利用して複数の有望な(合理的な)解候補を提示できる枠組みを進化型計算法をベースとして再構成・構築することを目的として研究を進めてきた.平成12年度においては,以下のようなテーマを設定し研究・開発を行った. (a)創発的問題解決プロセスに関する基礎的考察:計算機科学的な観点から設計プロセスを捉え,そこでの創造性やシンセシスを計算機で効果的に支援する方法論について基礎的な考察・検討を行った. (b)最適意志決定のためのルール獲得支援-遺伝的機械学習アプローチによるスケジューリング・ルールの獲得:リアルタイム・スケジューリングの問題を例題として取り上げ,最適なスケジュールそのものを求めることを目的とするのではなく,最適(に近い)スケジュールを生成できるルールを発見・構成する方法について検討した. (c)分散型意志決定支援-自律分散型意志決定モデル構築と進化型計算法による解法構成:分散型生産システムにおけるスケジュール作成問題を取り上げ,自律分散型モデルの一構成法を提案するとともに,このモデル上でのマルチエージェントによる解法アプローチを構成した. (d)多目的意志決定支援-対話型進化計算法によるパレート最適スケジュールの生成:進化型計算の枠組みにヒューマン・マシン対話を取り入れることによって最適値探索と同時並行して逐次的に意志決定者の選好を抽出ことを可能とする進化型計算の枠組みを構成した. これらはいずれも相補的な役割を果たすものであり,これらを合わせることによって,対象とするシステムの構造・構成や意志決定者の選好等がダイナミックに変化する状況下においても効果的な意志決定支援を可能とすることが期待される.この点に関する検証が今後の課題として残されている.
|