研究概要 |
平成11年度の研究実績を研究実施計画に沿って以下にまとめる. 1.触覚センサの制作 本年度は従来の振動検出機能を持ちつつ,接触位置も同時に検出できるように幅1mm,長さ12mmの圧電性フィルム(PVDF)を8枚,2.5mm間隔に埋設した触覚センサを試作した.接触により発生する歪みを積分することにより接触位置が検出できることを示した.また,フィルムをセンサ表面に垂直に埋設した場合は,滑り出しの方向を検出できる可能性を示した. 2.動的な触覚信号の処理 ロボットの指先と対象物体の主な接触状態(遷移)である,接触の開始,滑り,離脱を識別する手法を開発した.接触の開始は遮断周波数約100Hzの低域通過フィルタの出力が一定のレベルを越えることにより検出し,滑りは波形上の極大値(尖った部分)数の頻度により検出できることを示した.本手法は通常の周波数領域のフィルタリングによる検出より,滑り始めの振幅の小さい状態の検出特性に優れている.さらに物体の角にように尖った部分をなぞった場合に現れる,はじかれたような波形をパターン認識により検出し,対象物体の形状情報として利用できることを直方体のハンドリング実験によって示した. 3.多指ハンドの設計制作 当初は3本目の指を追加する予定であったが,機構が複雑化することによる全体の性能の低下が懸念されたため,既存の2本指ハンドの機構を改良し,さらに制御用計算機を高速化することにより制御性能を向上させた.
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