研究概要 |
我々はパルスを伝達情報として用いるニューロンモデル(パルスニューロンモデル:PNM)を用いた聴覚情報伝達経路モデルを提案している。しかし、前年度までの研究成果ではPNMにおけるパラメータの自動設定機能が実装されていないため、これが実用規模のネットワークを構築する上での問題点となっていた。そこで、本研究ではPNMのための汎用的な学習則の構築を目的とした。初年度においては、PNMのためのパルス間の特定位相差を学習するための学習則、およびパターン分類のための教師無し学習則を提案した。これら学習則をPNMに適用することにより、PNMを用いて非線型分離写像の獲得を行なうことが可能となった。第2年度においては、このPNMのための教師あり学習則を実際の音源定位および音源認識問題に適用することで学習則の性能を評価した。音源の方向を推定するネットワークの一部である入力信号間時間差検出モジュールを、音源認職ネットワークの前処理機構として適用することで、複数の音が存在する場合でも、ある特定の方向の音のみを特異的に認職するシステムを構築することができた。さらにPNMを効率よく論理回路としてハードウェア実装する手法に関しても提案し、提案手法を実用的な問題に適用する場合のハードウェアコストに関して検討も行った。これら成果については電子情報通信学会NC研究会(平成11年12月,平成13年3月)およ国際会議ICONIP'99(平成11年11月),IJCNN2000(平成12年7月)において発表された。
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