| 研究概要 |
1.視覚心理実験による有効視野の測定と解析
人間の視覚機能における有効視野の特性を解析するため,視覚心理実験を行った.ビデオプロジェクタを用いて実験を行ったため,広い視野範囲に対するデータを取得することができた.そして,実験より視覚処理課題の複雑さと有効視野には脳の処理能力に応じてトレード・オフの関係があることが分かった.また,従来の実験システムを改造して,被験者ごとの注視点移動時間,視力分布を測定し,実験をより確実なものとした.
2.有効視野を考慮した視覚システムの開発
研究室において開発を進めてきた,探索視・一瞥視の機能を有する視覚モデルに視覚心理実験の結果から解析した有効視野の概念を適用し,有効視野を考慮した視覚モデルを作成した.探索視は狭い視野範囲を詳細に見て,頻繁に注視点移動する処理過程であり,一瞥視は広い視野範囲を大まかに見て判断する処理過程である.認識対象によって変化する有効視野を指標として,これら2つの処理過程を人間のように自然に選択し,効率よく処理するモデルを開発し,コンピュータ上のシミュレーション実験においてその有効性を確認した.
3.人間の視解像度分布を模擬した視覚システムとの統合
研究室において開発を進めてきた,人間の視解像度分布を模擬した能動視覚システムと上記機能の統合を行っている.このシステムでは視野の広さが異なる2台のカメラの画像をソフトウェアによってリアルタイムに合成し,人間の視覚特性に近い画像を生成する.さらに視点移動が可能であるため,実際のシーンでの評価実験が可能である.このシステムと上記の有効視野を考慮した視覚システムの統合を検討している.
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