・スペクトル特徴量としてのスペクトル帯域の一般的クラス 時間変化するスペクトルの特徴量として帯域は重要である。特に確率過程の等価帯域幅の提案は古くから数多くある。本研究においてはそれらの統一的表現の理論に取り組んできた。その結果、スペクトルの等価帯域幅は、レニーのα次ダイバージェンスを用いることにより大きく2つのクラスで表現することが出来ることが分かった。まず、一つのクラスはシャノンのエントロピーやフィッシャーのエントロピーで定義される3種類とスペクトルの台の計4種類で代表される伝統的等価帯域幅を包含するものである。しかしこのクラスには、AR課程の理論で重要な役割を果たすflatness factorが含まれておらず、これを代表等価帯域幅として含むのが他の一つのクラスである。これら2つのクラスはいずれもレニーのα次ダイバージェンスに基づくものであるが、前者のクラスは順方向ダイバージェンス、後者は逆方向ダイバージェンスから導かれる。後者のクラスはflatness factorとスペクトル台を含む無限集合であり、今後まだ知られていない重要な等価帯域幅がこのクラスから発見される可能性がある。・ダイバージェンスと相互情報量を用いた各種特徴抽出法の提案 人のストレスを諮る重要な生理学的指標として脳波や心電図がある。また、人の精神状態は環境因子により影響をうける。本研究では上記等価帯域幅理論や情報理論を用いてこれらの指標や因子の解析並びに情報圧縮を試みている。まず、等価帯域幅の理論により心電図、脳波の圧縮と特徴抽出が可能である。またこれを気象画像解析に応用することにより、グレースケールの特徴的な幅を切り出す今までとは異なる画像閾値設計が可能となり、例えば従来の閾値設定では見落とされる黒潮などの検出もできる。本研究ではこの他、相互情報量を用いた新たな閾値設定法を提案しそれによる気象データ解析も行っている。これは従来の誤差最小規準に変わるものである。
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