研究概要 |
本年度は,運動・作業技能の形成を身体運動の出力機構である筋骨格系の力学パラメータの時間変化,ならびに関節出力トルクパターンと関連し,作業や環境に応じて形成されるこれらのパターンを作業スキルと促え,その形成および汎化能力について,以下の項目において研究を行ない,有益な知見および一定の成果を得られた. ●項目1:動的マニピュレーションタスクの例としてバッティングをロボットマニピュレータシステムにおける実現法をとりあげた.この作業を実現するために,マニピュレータの関節駆動トルクパターンを作業スキルと促え,目標打撃軌道が陽に与えられなくても,繰り返し動作により目標打球速度を実現するマニピュレータの関節駆動トルクパターンの学習アーキテクチャーについて検討をし,提案システムの有効性の確認を行った. ●項目2:人間上腕の筋骨格系と同等の粘弾性機構をマニピュレータ駆動機構のモデルにし,同機構の機械インピーダンスならびに目標運動位置を作業スキルとしたときに,手先負荷の有無,作業環境の相違により必要とされる作業スキルの特徴を求め検討を行なった.人間作業時の特徴との相似性を見ることもできた. ●項目3:マスタ・クレーブマニピュレータシステムによる遠隔微細操作時において,マスタ,スレーブマニピュレータ間の位置・力のスケーリング則による人間の作業適応能力への影響について,タスクを設定し検証を行なった. ●項目4:サイバネティク義手・義足の新たな制御法の開発を行なった.義手においては,従来の動作パターン識別とは異なり,より柔軟な応用を可能にする連続動作の実現を目指したトルク制御義手の学習・制御法について検討を行なった.また,義足では,軽量省力化を目指したエネルギー蓄積型大腿義足の受動要素について,その設計法を提案しメカニカルシステム上での実現可能性について検討を行なった. ●項目5:複数ロボットによる対象物の協調的操りにおける自律分散的な一制御法としてPassive Velocity Field Controlの適用を試み,複数車輪型移動ロボットシステムについて分散制御法を提案し,実機による検証を行なった.
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