研究概要 |
双対性の考え方を用いると,制御系の設計および解析問題で自然にあらわれる無限次元空間での数理問題の解法を有限次元空間での計算に帰着できる場合がある.今年度は,H無限大混合感度問題に代表される2ブロックH無限大制御問題の最適解を計算する方法を考察し,以下の結果を得た. ・連続時間線形システムの応答は,一入力一出力のインナー関数の定める左シフト不変部分空間にはいる関数の離散時間的な入出力関係で表すことができることを昨年度すでに示した.これは,サンプル値制御系で用いられるリフティングの手法を一般化したものである.このリフティングを用いて2ブロックH無限大制御問題の解法で重要となる混合ハンケル・テプリッツ作用素を記述した. ・上記の混合ハンケル・テプリッツ作用素の記述に基づいて,特異値および特異ベクトルの計算公式をハミルトン行列を用いて表現することに成功した.従来は,基底変換を途中で用いる公式は得られていたが,本研究では基底変換を全く用いないために余分な計算を必要としないことに特徴がある.
|