研究概要 |
複数の制御仕様を満たしながら,評価関数を最適化する多目的制御の解法について双対性の考え方から考察した.今年度は,時間応答制約ならびに周波数応答制約がそれぞれ付加されたl_1制御問題の最適解の計算法を考察し,以下の結果を得た. ・時間応答制約を付加したl_1制御について,遅れ拡大法を適用することにより最適解計算が可能であることを示した.その結果,過渡応答の形を考慮しつつ,l_1ノルムを小さくすることにより,ロバスト性や外乱除去性能にすぐれた制御系設計が可能になった. ・周波数応答制約を付加したl_1制御問題については,従来研究では,主問題と双対問題の間にギャップが存在するために,最適解の計算は難しいとされていた.このために遅れ拡大法の適用はできず主双対法を用いても,最適解との差がどれほど遠いかについては保証の限りではなかった.今年度の研究では,双対問題の変数の探査空間を提案法によって定めれば,主双対ギャップがないことを示すことができた.これにより,周波数応答制約を付加したl_1制御問題についても最適解との差を任意の値以下にする解を計算することができるようになった.
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