研究概要 |
無限次元での線形計画問題は,その抽象的な記述能力から多くの制御問題を扱うことができる.実際に計算するときには,変数の数を有限で打ち切って有限次元問題として解くことになる.最適値からどれほど離れているかを見るために,主問題とあわせて双対問題も有限次元近似を行うことによって,最適値の範囲を限定しながら解くことになる.ここで問題となるのが,主問題と双対問題のとる最適値の差(双対ギャップ)である. 今年度は,周波数応答制約,時間応答制約のある多目的l1制御問題について考察した.これらの多目的l1制御問題では,双対変数を単純に打ち切ると変数の数をいくら増やしても双対ギャップが生じることが報告されていた.今年度の研究によって,双対問題の変数空間を適切に選ぶ方法を与えることによって双対ギャップの生じない近似方法を新たに提案することができた.この結果,これらの問題は有限次元線形計画法を用いることによって,最適値から任意の精度で解くことができるようになった.
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