研究概要 |
一般の電力、通信ケーブルの地中化工事は、道路、歩道などを開削し、ケーブル管路を埋設している。一方、最近の交通事情、地域住民の要望などにより道路を掘らない管路の埋設工法(非開削工法)のニーズが高くなってきている。この工法では油圧ポンプを使用して導管を地中に圧入する埋設機が使用される。導管は長さ30cmの中空管(外径6.5cm)をヒンジ結合した多関節の鋼管であり、先端にテーパ部分を設けこれを回転させることで、曲進することができる。最終推進長は約30mを想定するのが一般的であり、特にこの導管が多関節であるのは、障害物を回避するように曲線推進性を持たせるためである。 この装置で問題となるのは、油圧ポンプで発生させた挿入力と、パイプ先端における逆圧力とのバランスにより、導管の途中に撓みu(t,x)が生じる場合である。地盤の堅さにより、この撓みu(t,x)が増大し導管の先端l(t)が推進せず、最終的に導管が破壊することがある。すなわちパイプの撓みu(t,x)と先端の位置l(t)には、ある力学的な関係条件があり、撓みu(t,x)を支配する通常の偏微分方程式に加えて、この新たな関係条件である自由境界条件を導出する必要が生じる。 高価な埋設機を何度も破壊実験に使用することなく、埋設機の導管に生じる撓みu(t,x)を発生するメカニズムである数学モデルを作成し、先端位置l(t)の制御方策を構築するのが主目的である。本年度は多関節の導管が直進する場合に的を絞って、導管の途中に生じる撓みu(t,x)が支配される双曲型偏微分方程式を構成し、解の安定性を検証した。
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