研究概要 |
1.乾燥収縮ひび割れにより劣化した鉄筋コンクリート構造物に対して,電着工法は物質透過抑制機能を充分回復できることが示された. 2.外部溶液の種類は,電着物の種類,析出場所と量に影響を及ぼす.ZnSO_4水溶液およびMgCl_2水溶液を用いた場合,ひび割れおよびモルタル表面ともに電着物を析出できた. 3.乾燥収縮ひび割れの閉塞,およびモルタル表層部の改質に伴う物質透過抑制効果が確認できた.例えば,透水性に関しては,1日間の電着で,ひび割れ部の透水係数がひび割れのない部分より減少した.中性化に関しては,MgCl_2水溶液を用いた場合,3日間の通電で,ひび割れ部の中性化深さがひび割れのない部分より減少した. 4.モルタル内部(電着面から1cm)においても,電着物の析出が確認できた.また,電着により,モルタル内部(ZnSO_4水溶液を用いた場合は電着面から1cm以内の範囲。MgCl_2水溶液を用いた場合は電着面から1cm以内の範囲。)の細孔が緻密化した. 5.ひび割れのない部分の中性化深さは,1日間の電着により,無電着のものの半分に低減した. 6.電着後に乾湿繰り返し作用を受けた場合,電着により回復したひび割れ部の透水抵抗性は保持された. 7.電着物とモルタルの付着強度は最大1.82N/mm^2となり,モルタルの引張強度と同等となった.
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