研究概要 |
本研究では,従来の練混ぜ方法と全く異なり,先練りモルタルと粗骨材を複数の箱形容器内に自由落下させることによって連続的にコンクリートを練混ぜる材料落下型連続ミキサ内のコンクリートの練混ぜ機構を解明し,この新しい連続ミキサの高性能化を実験的に検討することを目的とし,以下に示す1)練混ぜ性能実験と2)可視化モデルコンクリートを用いた可視化実験を行った。 1)本実験で製作した実機落下型ミキサの1/2モデルの練混ぜ性能に関する実験として,落下型ミキサとバッチ式ミキサの練混ぜ性能の差を,モデルコンクリートを用いて練混ぜ後の洗い分析試験によって定量的に評価した。その結果,練混ぜ性能を良好にする粗骨材濃度の最適値が存在すること,モルタルの粘性が高い方が練混ぜが良好であること,骨材形状が丸い川砂利モデルの方が,角張った砕石モデルよりも練混ぜ性能が良好であることが,箱形容器の斜面角度が45度の方が,斜面角度60度よりも練混ぜ性能が良好であること等が,明らかになった。 2)落下型ミキサ内の投入材料の流動挙動を定量的に評価し,練混ぜに影響を及ぼす要因を解明することを目的とし,ミキサ内におけるコンクリートの挙動の異なる部分での速度ベクトルの発生状況を画像処理により求めた。その結果,斜面角度が60度の容器形状の材料落下型連続ミキサでは,落下部と斜面部での粗骨材粒子群の平均速度差による繰返しによって,コンクリートの練混ぜが行われる。一方,斜面角度が45度の容器形状の材料落下型連続ミキサでは,落下部では落下速度が非常に小さくなり停滞し,斜面部では自由落下と同様な落下速度で分散する。この停滞と分散の繰返しによってコンクリートの練混ぜが行われることが,明らかになった。 以上の知見から,材料落下型連続ミキサの練混ぜの高性能化を図るためには,箱形容器内を通過する材料の停滞や閉塞を発生させない範囲内で,材料の滞留時間をできるかぎり長くさせ,かつ落下方向や落下速度を変化せることが重要であると言える。
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