研究概要 |
平成11年度は,ポーラスコンクリートの水質除去効果に関する研究を実施し,得られた成果をコンクリート工学論文集に公表した。引き続き平成12年度は,ポーラスコンクリートの吸音特性を把握し,吸音板としての適用性を検討することを目的として,骨材の種類や粒径分布,空隙率,供試体の厚さ,供試体背後の空気層の厚さが吸音効果に及ぼす影響について実験的に検討した。骨材は石灰石と火山性軽量骨材のぼらの2種類,骨材粒径の範囲は5〜10mm,10〜15mm,15〜20mm,5〜15mmと5〜20mmの5種類,空隙率は20,25および30%の3種類,供試体厚さは3cm,5cm,6cm,8cmおよび10cmの5種類,供試体背後の空気層の厚さは0cm,3cmおよび5cmの3種類とした。 実験の結果,以下の諸点が明らかとなった。 (1)火山性軽量骨材のボラを用いれば,石灰石を用いた場合よりも吸音率がピークとなる周波数は低くなる。 (2)骨材粒径範囲の違いは,吸音ピーク周波数,ピーク吸音率の変化に明確な影響は及ぼさない。 (3)空隙率が増大するとともに吸音ピーク周波数は高周波数域へ移行する。 (4)供試体の厚さが増大するとともに吸音ピーク周波数は低周波数域に移行する。 (5)供試体背後の空気層の厚さが厚くなるに伴い,吸音ピーク周波数は低周波数域に移行する。 (6)ピーク吸音率に関しては高い値が得られたが,今回考慮した影響要因とピーク吸音率との関係には明確な傾向は見られなかった。 これらの結果から,空隙率や厚さ等を適切に設定することによって,所要の吸音特性を有するポーラスコンクリートとすることが可能であることがわかった。
|