研究概要 |
近年,エココンクリートへの関心が高まり,環境負荷のていげんや生物への対応が可能なポーラスコンクリートについての研究が活発になされている.連続空隙を有し,内部表面積の大きなポーラスコンクリートは、多くの優れた機能を有しており,環境負荷低減機能の1つとして吸音機能が上げられる.この分野についても精力的に研究がなされ,その特性は次第に明らかになってきており,良好な吸音材料としての開発も期待されているが,その特性が十分に解明されている状況にはない. そこで平成13年度では,火山性軽量骨材のぼらおよび石灰右を用いたポーラスコンクリートで,1)同一空隙率や異なった空隙率を組み合わせた場合,2)同じ厚さや異なった厚さを組み合わせた場合で,重ね合わせた2つの供試体間の空気層の厚さを変化させた場合について,管内法による垂直入射吸音率測定結果に基づいて吸音特性を検討した. その結果,以下の諸点が明らかになった. (1)粗骨材単体であれば,多孔質ぼらの方が,石灰石よりも吸音率が全周波数域で高いが,湿潤状態であれば石灰石とさほど差異はない.また,従来の研究成果によれば,多孔質骨材を用いてもその表面がセメントペーストでコーティングされるために内包する空隙に音が吸収されにくいとされているが,面密度が小さいぼらが,石灰石と同程度の吸音特性を有していることから,ぼらを用いたポーラスコンクリートは優れた吸音材料である. (2)供試体厚さが増大すれば,ピーク吸音率には明らかな影響は認められないものの,ぼら,石灰石のいずれの場合も吸音ピーク周波数が低周波数域に移行する. (3)空隙率が増大するにつれて,石灰石,ぼらのいずれの場合も吸音ピーク周波数は高域へ移行する.しかし,ピーク吸音率に対しての明確な影響はない. (4)供試体間に設けた空気層が厚くなるにつれて,吸音ピーク周波数は低域へ移行する.また,ピーク吸音率に対しては明確な相関性は認められない. 以上のように,ポーラスコンクリートの空隙率や厚さ,粗骨材種類や供試体間の空気層を適切に組み合わせることで,所要の性能を有する吸音材料とすることが可能であるといえる.
|