研究課題/領域番号 |
11650469
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研究機関 | 八戸工業大学 |
研究代表者 |
庄谷 征美 八戸工業大学, 工学部, 教授 (80006684)
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研究分担者 |
阿波 稔 八戸工業大学, 工学部, 講師 (10295959)
月永 洋一 八戸工業大学, 工学部, 教授 (60124898)
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キーワード | 高性能コンクリート / 鉱物質微粉末 / ブリーディング / 保水性能 / 拘束水比 / 粒子形状特性 / 脆弱層(遷移帯) / コンクリートの高耐久化 |
研究概要 |
近年,コンクリート構造物が使用される環境はますます厳しさを増しており、また、その要求される性能も多様化してきている。そのような社会的背景のもと、高流動、高強度、高耐久を主目的とした高性能コンクリートの開発研究が鋭意進められている。そして、コンクリートの高性能化を達成するためには鉱物質微粉末の適切な利用を図ることが重要なキーファクターであると考えられている。本研究課題は、鉱物質微粉末の保水性能に視点をあて、それとコンクリート品質の高性能化、特に耐久性の改善との関連に主眼をおいて検討しようとするものである。本年度は、微粉末材料によるコンクリートの耐久性改善効果の評価について、ブリーディングにより生ずる内部組織構造の変化、特に気泡組織や細孔構造、粗骨材界面の脆弱層などの観点から検討した。得られた結果の概要を以下に述べる。 1.フレッシュコンクリート中でブリーディング水の移動に伴い気泡も移動するものと考えられ、水分と一緒に粗骨材下面やコンクリート上層部に移動し集まった気泡同士が重なり合い粗大化し、結果として気泡間隔係数を増大させることが分かった。 2.コンクリートのブリーディング性状は細孔構造特性にも大きな関わりを持っているものと考えられる。微粉末材料を細骨材の絶対容積に置換し、ブリーディングを低減することによって10nmから1000nm程度の細かい径の細孔が増加しているのが認められた。 3.コンクリートに過度なブリーディングが生ずると、粗骨材界面に強度が極めて低い脆弱な領域が広範囲に形成される。特に、打設面より20〜40mmの位置においてその傾向が顕著に現れることが分かった。そして、この脆弱層がコンクリートの凍結融解抵抗性を低下させる一要因となることを明らかにした。 4.ブリーディングを低減し、コンクリート内部における適切な気泡の確保、極め細かな細孔の形成、および粗骨材界面の脆弱層の形成を抑制するためには鉱物質部粉末の使用が極めて有効である。そして、コンクリートの耐久性能の向上を図ることが可能である。
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