研究概要 |
道路に最も一般的に用いられているアスファルト舗装は,施工や維持修繕が比較的容易で,目地を有しないために利用者に快適性を与えるという利点を持つが,感温性が極めて高く,年間を通じてその力学的挙動が著しく変化するという特徴を有している.すなわち,アスファルト舗装においては,その内部の温度分布が供用中にどのように変化するかが破壊にとって非常に大きな役割を演ずる. 本研究は,舗装の内部温度分布を正確に推定するシステムを確立し,このようにして求められた舗装の温度分布が,これを無視した場合と比べて,舗装の力学的挙動や破損にどのように影響を及ぼすかを,種々の破損モードごとに詳細に検討し,新しい舗装の設計法に対して提案することを目的としているが,昨年度は,特定の構造を持ったアスファルト舗装について,実際に舗装の温度がどのように変化するのか,また,舗装の温度に影響を及ぼす因子の定量化を中心に研究を実施した. 本年度は,まず昨年度までに得られたデータをもとに,有限要素法を用いて,舗装の温度分布推定プログラムをWindows98上で作成した.このとき,今まで舗装の温度推定モデルにおいて2次元の有限要素法では,直接組み込むことのできなかった赤外放射量を独立な因子としてとらえ,熱伝達率を教義に定義し直した.また,AmeDasのデータには含まれない日射量を緯度,経度,時刻,日照時間の割合から理論的に算出するサブルーチンを開発した.これらを組み込んだ温度推定プログラムによる温度分布の計算値は,実際の舗装で測定された値とほぼ一致し,舗装の温度分布は,実用上,問題なく推定できることが確認された. 最後に,次年度に備え,このモデルによって推定される舗装の温度分布をもとに,力学的な観点から舗装の代表温度をどのようにとらえるべきかについての検討を行った.その結果,夏季と冬季など,気象的に対照的な状態では舗装の力学的な挙動がどの程度異なるかを分析し,FWDを用いた舗装の逆解析結果を補正する係数を提案した.
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