コンクリート骨材として溶融下水汚泥、都市ゴミ焼却灰、焼結石炭灰およびガラスカレットなどの廃棄物起源材料を1m^3当たり631kg及び1519kg使用した再生廃棄物高含有コンクリート(HVRWC)を調製し、天然骨材を使用したコンクリートと比較検討した。さらに、セメントを都市ゴミ焼却灰起源のエコセメントにした場合とも比較、検討した。その結果、以下の結論を得た。 (1)廃棄物起源骨材による骨材置換率が増加するとともにコンクリートの圧縮強度は低下した。これは、主に高空隙率、粗大空隙の存在による廃棄物起源骨材自身の強度が低いこと、セメントペーストとの付着強度が低いことなどに起因するものと考えられる。しかしながら廃棄物起源骨材を631kg/m^3使用したHVRWCでも材齢91日においては40N/mm^2以上の強度を発現し、構造用のコンクリートとしての使用に耐え得るものと考えられる。 (2)HVRWCにおけるセメントの水和反応は天然骨材を使用したコンクリートと同様に進行し、廃棄物起源材料を使用したことによる悪影響はなかった。また、高炉スラグおよびフライアッシュを併用することにより、Ca(OH)_2の消費と、C-S-Hの量の増加を促進し、材齢とともにコンクリート組織の高緻密化が実現された。HVRWCの硬化体組織は天然骨材を使用したコンクリートと大差なく、またコンクリートより有害物質の溶出等も認められず、その耐久性も問題ないと考えられる。 (3)SEM、EPMAによる観察の結果、エコセメント使用の場合はW/C=0.5においても遷移帯は生成せず、普通セメントの場合に比べ、セメントペースト・骨材間の結合は良好であった。溶融下水汚泥を骨材とした場合は、標準砂骨材を用いた場合に比べ、空隙率がやや増加し、骨材表面の平滑性に起因する付着強度の低下が認められた。 (4)エコセメントのような水酸化カルシウム消費型、多結晶水水和物生成型水和反応を伴うセメントを使用することにより、セメントペーストと廃棄物骨材との界面構造の制御が可能であることが示唆された。
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