研究概要 |
自動車走行により励起される橋梁の振動は,地盤及び空気中を伝播して,それぞれ地盤振動,低周波音として環境への影響を及ぼす畏れがあるとされている.環境影響評価に関して,評価項目の一つである地盤振動については,予測及び評価方法,並びに各種の対策工法が検討され実績も多い.しかしながら,低周波音に関しては,現状では予測手法も評価となる指標も共に未確立であり,環境影響評価では,重点化項目としての取り扱いに予定されており,今後,低周波音の予測手法の開発を目的とした現象の定量的把握と効果的な対策の研究が求められる.同時に,地盤振動、空気振動は共に橋梁からの振動の伝播現象であり,一体としての評価も必要である.そこで,本研究では,自動車走行による橋梁振動の総合的環境影響評価モデルを構築することを目指すものであり,研究初年度として,以下の研究成果を得た. 1)実測による橋梁振動の実態把握 構造条件の異なる橋梁において,自動車走行時の橋梁各部の振動と構造物音(構造物内の波動),地盤振動,並びに空気振動の同時測定データを入手し,それぞれの時系列相関解析・FFT解析を行った.これらより橋梁振動の発生に及ぼす伸縮装置部などの影響や空間的振動分布に及ぼす構造条件との相関度を得た. 2)振動の発生・伝播のメカニズムの解明 さらに,空気振動の定量的な予測方法を検討するために,自動車の段差に起因する振動発生,発生した振動から空気振動への増幅度特性を周波数領域で算定した. なお,現在,以上の研究成果を土木学会年次講演会等へ発表する準備を進めている.
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