平成11年度の研究において、土木の設計で用いられる基準類の内容を整理し、主要な限界状態を比較列挙し、一方構造物の用途ごとに、必要とされる限界状態の推定を行い、研究目的に示したような、「人命確保」「耐荷力維持」「早期復旧」分類を行い、力学的挙動と関連づけを行った。 本年度は、昨年からの継続課題である、橋を中心とする土木構造物と建築物の間の要求性能の違いを体系化して、両者を包含する一般的な設計基準を構築するする上での問題点の整理を行った。また特に橋脚に注目し、道路橋と鉄道橋などのように、走行安全性に影響を及ぼす変形量が異なる構造物の対比を想定して、設計時に想定した条件と実荷重下の挙動の関係の考察を進めた。さらに橋脚形式(1本柱、門形ラーメン)の違いによる設計時の支配条件の相違と、それらが挙動に及ぼす影響についても考察し、そこに信頼性のモデルをあてはめる検討を行った。 本研究のもう一つの目的である、システムとして構造物をとらえて安全性評価をするため、上下部構造それぞれの安全係数の設定のもたらす影響を評価するための、信頼性評価手法の方法の考察にも着手した。 さらに、設計法の国際化との関連性について、昨年より進めている検討をまとめ、論文として報告した。
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