研究概要 |
構造物の減衰性能を向上させるための一つの方法として、本研究では構造物の自由振動の1次モードに注目して、二つの構造物を連結部材(ばね・ダンパーから構成される)を用いて相互に連結して、減衰性能の向上をはかる方法を提示した。構造物は離散系システムとして取り扱い、二つの構造物が一つの連結部材で任意の方向に連結された状態を想定した。連結部材の近似的調整法は次の手順は次の通りである。初めに、二つの構造物のモーダルマトリックスを用いて、連結された二つの構造物の運動方程式から1次モードの方程式を求めた。このモード方程式が二つの質量と三つのばねから構成される2自由度系の運動方程式と等価になることを示し、この2自由度系の減衰性能が共に等しく最大となる連結要素の調整条件を明らかにした。この調整条件から構造物を相互に連結する部材の調整条件を近似調整法として提示した。まず、この調整法の妥当性を、相互に連結された二つの模型ラーメンについて、減衰自由振動実験を行い、実験的に妥当性を明らかにした。ついで、この近似調整法を用いて、相互に連結された二つの並立した塔状構造物、斜張橋の並列したケーブルの相互連結、低周波の卓越した固有振動数を有するランガー橋とプレートガーダー橋との連結、さらには並立した立体ラーメンの相互連結に対して減衰性能を明らかにし、調整法の妥当性と連結部材の有効性について調査検討した。これらの研究結果については下記の通り発表の予定である。 ・近似的調整法とその妥当性の検討:Journal of Sound and Vibrationに投稿中, ・調整法の実験的検証:山口大学工学部研究報告に投稿準備中, ・塔状構造物、斜張橋ケーブル、ランガー橋とプレートガーダー橋、立体ラーメンヘの適用:山口大学工学部研究報告に投稿準備中である。
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