本年度は、基盤と表層地盤における地震波動の伝達特性が、不整形堆積と埋設部の液状化の相互影響等に大きく依存することを、地盤モデルの地形的特性と物性特性により、基礎的な検討を行う。そのため、表層地盤は基本的に水で飽和した2相系媒体とし、これを非線形有効応力解析プログラム(NUW2)により液状化まで対応するが、入力は基盤より上方に神戸地震波(ポートアイランド記録波)を用いた。 1.先ず、基盤-表層地盤系モデルを設定する際には、人為的な境界よりの反射波を抑えるために、吸収境界条件を導入し、これを地盤モデル左右の境界に付加したが、これの吸収効果とその有効性について示した。(11.研究発表の1.)。これにより、希望精度に対応した地盤モデルの設定が可能となり、記憶容量と計算時間の大幅な節約がはかれ、この種の問題はほとんどがパソコンで処理しうることを示した。 2.不整形な地盤構成では、液状化による地盤剛性の急変のため、表層地盤の動特性の1つである固有周期の低下及び加速度周波数伝達関数の劣化とその非線形性が顕著に現れるようになる。このことについては、本研究費の外国旅費の使用により、国際会議において発表した(11.研究発表の3)。 3.非液状化層と液状化層の隣接部では、相互の影響が現れる。すなわち、液状化層の若干の硬化と非液状化層の若干の軟化による動特性の変化が現れ、さらに、その非定常性も出てくる。
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