研究概要 |
本年度は,構造物の動的応答を実験によりシミュレートする仮動的実験を,計算機上ですべて行うことができる動的応答解析プログラムの開発を行った. 具体的には,通常,仮動的実験において実験により求められる復元力特性を,局部座屈を考慮できる有限要素解析プログラム(既開発)によって解析的に求めることとし,この有限要素解析プログラムと応答解析プログラムとを結合している.そして,この開発したプログラムの妥当性を検証するために既に行われた様々な断面に対する単柱形式橋脚の仮動的実験結果との比較を行った. その結果,1)無補剛箱形断面を有する解析モデルに対しては,開発したプログラムによる応答水平変位の最大値,応答水平荷重の最大値,および残留変位は,仮動的実験で得られた値の,それぞれ88.8%,82.4%,および92.6%となったこと,2)補剛箱形断面を有する解析モデルに対しては,応答水平変位の最大値,応答水平荷重の最大値,および残留変位は,仮動的実験から得られた値のそれぞれ82.4%,94.6%,および89.8%となったこと,3)円形断面を有する解析モデルについては,応答水平変位の最大値,応答水平荷重の最大値,および残留変位は,仮動的実験から得られた値のそれぞれ97.0%,105.3%,および95.5%となったこと,などの結果を得た. したがって,これらの結果から判断すると,さらなる高精度化は必要と考えられるが,かなりの精度で仮動的実験結果を再現できていることから,本解析プログラムは妥当であると考えられる.今後は,解析結果と仮動的実験結果との差異の原因解明を進め,本解析プログラムの高精度化をはかる必要があり,次年度に継続して行うこととする.
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