・従来の構造物モニタリング・システムのハード的側面およびソフト的側面の研究・開発状況について調査研究を行った。 ・起振器による入力波形の作成を行った。起振器は、パワーの限界があり、その拘束条件のもとで、構造系の対象とする部位を効果的に励振させる入力を作成するための手法を開発した。また、複数の起振器を用いる場合には、その位相をどのようにコントロールするかという点に関する検討も必要となる。振動方程式を周波数領域に変換し、出力パワーの拘束条件のもとに、特定の構造部位に効率的にエネルギーが伝達するような評価関数を定め、入力のフーリエスペクトルの振幅、位相特性を決定し、時系列波形を、逆フーリエ変換によって求める手法を示した。 ・観測する物理量、観測点配置計画を情報エントロピー理論を用いて解析する手法の開発を行った。構造同定の精度は、知りたい物理量に観測によってどの程度の情報量が与えられているかということに関係してくる。Shannonによって提案されたエントロピー理論を情報としてもっとも効果的な物理量の選択および観測点の配置計画に適用した。 ・モニタリング・システムから得られる情報から、構造物の性能保有確率を算定するための理論構築を進めた。カルマンフィルタを援用した解析的手法と重要サンプリング手法による非線形、多自由度系の動的外力による性能保有確率の算定理論を構築し、構造物の健全度を判定するための情報を提供する。
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